早朝、家を出た直後、青年は突然呼び止められた。
「そこのあなた」
振り向くと、占い師のような格好をした老人が立っていた。
「なんですか?」
青年は尋ねた。
「あなた、今日一日“13”という数字に近づいてはならんよ。いいね。」
そう一言だけ告げると、老人は足早に去っていった。
青年は多少疑問に思いながらも、会社へ向かうため車を置いている駐車場へ向かった。
車を運転している途中、青年は何の気なしに前のトラックのナンバーに目をやった。
0013。
今朝の老人の言葉を思い出した。
それを信じるわけではないが、青年は車を路肩に停め、自販機で缶コーヒーを買った。
直後、轟音が響き渡った。さっきのトラックが積んでいた鉄パイプが崩れ落ち、その後ろについていたほかの車をめちゃめちゃにつぶしていた。
再び車に乗り込み、会社へ向かう青年だが、今朝の老人の言葉に少し恐怖を感じていた。
やがて、会社に着き、建設中のビルの隣の社員専用駐車場へ向かう。
青年は最初に目に入ったスペースに車を停めようとした。が、そこの番号は13番だった。
青年はそこに駐車するのをやめ、反対側の25番のスペースに車を置いた。
とたんに、13番のスペースに鉄骨がすさまじい勢いで落下してきた。
同時に、青年を耐えられないほどの恐怖が襲った。
「このままでは、僕は“13”に殺される・・・・。」
社屋へ入り、自分の席についた青年は自分の周りに“13”がないかどうかを調べた。どこかに残っていたらまた何か起きるかも分からない。
書類の一枚一枚まで丁寧に調べた。悪魔の数字を見つけるたび、サインペンで塗りつぶした。
青年の周りに“13”という数字はなくなった。青年は一安心し、小さくため息をつくと、黙々と仕事を始めた。
社員たちは、昼の1時に発生した地震によって崩壊した会社の社屋を見つめている。
大惨事であったのにもかかわらず、中にいた社員は全員無事だった。あの青年を除いては。
彼は避難の際に、腕時計が何かにひっかかり、逃げ遅れてしまったのだ。
午後1時、つまり13:00を表示したデジタルの腕時計が。