A氏は家の扉を閉めた。
閉めた勢いで植木鉢が倒れた。
が、それは気にせず、A氏は会社へ向かった。
倒れて割れた植木鉢の破片が、飛び散った。
その音と飛んできた破片に一匹のねずみが驚いてその場を逃げ出した。
一匹の猫の前をそのねずみが横切った。
猫はねずみを追いかけた。
猫がねずみを追いかけているとき、自転車のスタンドにぶつかり、自転車が倒れた。
倒れた自転車のかごから、野球のボールがひとつ転がった。
材木をかついで歩いていた大工の助手がそれを踏みそうになり向きを変えた。
その材木が、ある家のインターホンをおした。
インターホンを聞いて、少年が2階から階段を駆け下りてきた。
その少年が階段を踏み外し、転がり落ちた。
その少年の母親があわてて救急車を呼んだ。
救急車が到着した。
その家の隣の、ある会社の事務所の2階にいた人が救急車のサイレンを聞き、窓を開けた。
突然窓が開き、事務所の看板の色塗りをしていた作業員がバランスを崩しそうになった。
その拍子に作業員の足元に置いてあったペンキの入った缶が落下した。
そのペンキが、その下を走っていた車のフロントガラスにかかった。
その車の運転手はペンキで前が見えなくなった。
操縦ができず、前を歩いていた人をはね飛ばした。
はね飛ばされたのはA氏だった。
A氏は薄れ行く意識の中でこう思った。
ちくしょう、なんで俺がこんな目にあわなきゃならないんだ。俺が何をしたっていうんだ。