J氏は仕事熱心だった。
別に、会社のために尽くす、そういうわけではない。単に今ついている仕事にやりがいを感じていたのだ。
朝の8時に会社につく。それから集中して仕事をはじめ、気がつけばもう帰宅時間の午後9時になっている。
極端にそういっても過言ではなかった。
J氏にはその仕事をしている時間が妙に短く感じられた。
「何かに熱中している間は時間が短く感じられるというが・・・まさにそのとおりだな。」
しかし、J氏は気づいた。明らかに自分の感じる時間は短い。
現実に1日に食事や休憩時間をのぞいて10時間近く時間は流れているし、それ相応に仕事も進んでいるのだが。
J氏はこの会社に入社してもう5年が経つ。
しかし、J氏の姿は5年前とあまり変わっていない。
自分が変わっていないというか、周りの社員がふけて見えるというか、とりあえず妙な感じがする。
「仕事をしている間、つまり熱中している間 だけ時間が、短く感じられる、いや、短くなる・・・。」
J氏はある日重大なミスをおかした。そのミスは会社に増大な被害を与えた。
当然、J氏は今まで5年間勤めていた会社を首になった。
新しい仕事を探す気にもなれず、今までの貯金で毎日を過ごしていた。
何も熱中することのなくなったJ氏には時間が長く感じられた。
それから何にも熱中することもなく5年が過ぎた。
J氏はすっかり年老いた老人になっていた。